なのはな日記

小さな言の葉を、日々の日常の中で芽吹かせていきます。

Diary#49

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いつも見てた景色。

 

その景色を、明日見ることは無い。もう二度と。

 

 

 

 

 

 

 

私がこの1年見続けた景色がありました。

教卓から、もうこの景色を見ることは無いでしょう。32人を見守ってきたこの怒涛の1年が終わってしまいました。

 

楽しい思い出も悔しい思い出も、苦い思い出も辛い思い出も。全部、彼らと紡いできた思い出が、今はとてつもなく愛おしい。

 

……仕事って本当に面倒なんだなって思う場面も何度もありました。人相手なだけにそれが余計に思えて、繊細な心を持っているからこそ、てきとうにやるなんて出来ない。

 

ましてや、自分は9歳が相手です。どこまで考えても、予想で収まることはほとんどありません。

 

怒ってしまうこともありました。

ただ、その怒り方を沢山彼らから沢山学びました。

 

怒鳴るだけじゃない。

 

何も言わず、ただ黙って見守ることもある。

 

その子を怒るのではなく、周りの子を褒め称える。

 

自分が注意するのではなく、友達に声を掛けてもらう。

 

時たま、名指しで指名する。

 

……忘れ物、またしたんかい!!

さっきも言ったじゃんか……。

 

ということも何度もありまして、その度に丁寧に説明しての繰り返し。

 

思うように動かない、響かない。そんな毎日を繰り返しながら、教員として大きく成長させてくれた子たちでした。

 

最後の日に、私は彼らに1年分の想いを込めて、とびっきりのプレゼントを用意しました。

 

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「モチモチの木」というお話を国語で教えたので、それをイメージしたものを送りました。子どもたちには、このクラスのみんなへの感謝の言葉を書いてもらって、その裏側に「先生」としての私からの言葉を書きました。

 

何か一つでも彼らの背中を押せる言葉になったのなら、先生として本望です。

 

担任として最後に何を話そうかずっと考えていました。考えていたはずなのに、いざ話そうとしたら、何も出てこないもんです。

 

思わず言っちゃいました。

 

「えーっと、ここで話すことをずっと昨日の夜から考えて、朝も考えてたはずなのに忘れました。あー。なんだろうな……ここで君たちと出会ったのがもう1年前か……1年って早いね」

 

何なねん、この担任、おかしいやろ。笑

 

って私は思うんですけども、「なんかね、なんも出てこないんだよねぇ……」って言いながらも、すっげぇ泣きそうになってたんですよね。目頭が熱くなってきた、いやみんなの前で絶対泣きたくない。泣くもんか、って泣かないように踏ん張って。

 

「ごめん、ほんと、今先生泣きそうなんだけど、泣かないかんな!!」って言いました。ごめんな。

 

んで、それからこう……「なんか言いたいことある人いる?」って聞いたら、1人手を挙げたので呼んだんです。そしたら……

 

「先生、1年間ありがとうございました」って言うんですよ。その子、毎日欠かさず漢ド計ドを自学とかでしっかりやってきてた子なんです。

 

授業中の姿勢とか、ふざけてしまう所とか、口がきつい所とか、あるんですけども、私は凄く偉い子だと思っていて。

 

習慣が身に付くって本当に凄いことだと思います。だから通知表でも、手紙でもべらぼうに褒めました。唯一無二の彼の武器だから。

 

そういう「個性」を、私は「きらり」と称していました。

 

え、きらり?

 

そう、「ダイスキだったらダイジョウブ」です。自分、Aqoursちゃん好きすぎるので、職場にもそういうことをさらっと入れてます。

 

「今日のきらり」という活動を帰りの会に設けていまして、友達の良いところを発表していこうってやつなんですけども。

 

単純に自分のいい所を見つけて欲しかったんですよね。私自身が自己肯定感が低い人間だったので、それを自分は嫌っていて。

 

用意出来る教師でありたかった。自己肯定感を高められるような、人生を生き抜くための自分の力を持てるような環境を用意してあげたかった。 

 

だから、結構悪者みたいな立ち位置になっても良かった。「君らが成長出来るなら、私は喜んで悪者になるよ」とさえ話していました。

 

これがいい事か悪い事か私には分かりません。

 

でも、その想いが少しでも報われたのかなって思いました。

 

沢山手紙を貰いました。

来年も先生が担任がいいって言ってくれる子もいました。

 

……純粋に嬉しい。

 

「最後に言い残したことはないか?じゃあ、1年で1番大きな声で挨拶してくれると先生は嬉しいな。笑顔でまた逢いましょう」

 

そんな言葉を送った気がします。

そして、最後に……ハイタッチをして彼らを帰しました。

 

中には「先生大好き!」と抱きつく女の子もいました。抱きつかれ慣れていないので、めちゃくちゃ照れたんですけども、頭を撫でました。

 

……離れたくないって、言ってて「可愛いかよ!!」って思いましたけれども、「また学校で会えるよ」ってやんわり返して。

 

あ、言ったんですよね。この子らには。

 

「君らが6年生になった時に、また担任を持ちたいよ。送り出してあげたいもん。だから、成長した姿を見せてください」

 

って言ったんです。そしたら一人の子が「先生も成長しててくださいね」って返されちゃって。あ、この子はムードメーカー的存在です。反応良くて、授業も盛り上げてくれて……そんな子に成長しててくださいって言われたら、「分かった。よし、私も成長する。だから、成長した未来でまた逢おう」って伝えました。

 

「先生、大好き!」って下校指導でまた言われたんです。照れ隠しで「そういう言葉はな、好きな男の子に言うんだぞ」って返しちゃいました。

 

そういうとこやぞ。って思ったんですけども。

 

4月から彼らの担任じゃないんだなって思うと寂しいですね。泣かなかったけど、無性に泣きました。

 

でもそれだけじゃなかった。

春は出会いと別れの季節。

 

……主任、副主任の移動が決まりました。

 

辛いです。仕事が速すぎる2人が居なくなるのが、本当に辛いです。

 

おかしいんですよ。主任、副主任、私の3人……AB型なんですよ。驚きました?

 

AB型って基本あんまり人に干渉しないか干渉するかの2択なんですけども、必要な時には話すけど、それ以外は業務の話をしてて。それが逆に心地よかったんですよね。

 

初めの頃は、あまりにも干渉されなさすぎて「え、何をすればいいの?」と思っていた時期もあって辛かったのですが、次第に「あ、必要なことは聞こう」と思うようになりました。

 

主任も副主任もご家庭を大切にされていて、凄く早く帰られるんですよ。素敵な先生であり、親でもあると思いました。

 

いつしか憧れるようになりました。こんな風になりたいって。

 

主任は、「こんな感じでやるよ。あとはクラスで任せるよ」って結構放任主義すぎでは?と思っていたのですが、この人は背中で語ってくれました。

 

気付いたら見通しが立ってて、そこまでこういうことするよっていうポイントを置いておいてくれて……こっちをばたつかせてくれなかった。安心して、ついて行きました。そう思わせてくれる存在です。

 

そんな主任と似ているようで、副主任はまた違くて。女性の先生だから、凄く話しやすくて、「なんでも聞いてね」って言ってくれて、ことある事に「これってどうしますか?」って子犬のように聞きに行っていた気がします。

 

……正直心にぽっかりと穴が空いたようです。

 

2月末から3月初旬、私は……3クラスのことを考えていました。というのも、自分の学年は3クラスあって、主任が1組、私が2組、副主任が3組だったのですが……コロナの影響で、2人が自宅待機になったことがありました。

 

たった3日です。その3日が……辛かった。辛かったです。主任代理、学年のことは全て回ってくる。メールで主任、副主任とのやり取りをして、明日のことを考えたりしていましたが、すごく辛かったです。

 

何より寂しかった。あぁ、頼れる人がいないって辛いって思いました。隣にいた2つ上の先輩にいつも泣きついてました。もう、あれがあったので、私はそこまで動じなくなった気がします。

 

2人の移動をぼんやりと知ったのは卒業式の日でした。「校長室に呼ばれてたから、多分移動するんだと思う」と言われ、涙が止まりませんでした。

 

1年間、たったの1年間です。

 

まだまだ学びたいことが沢山あったのに、教えてもらってないことも沢山あったのに。

 

残酷な運命に、どう向き合えばいいのか。

 

そんな時、Aqoursと伊波さんに教えてもらったことが浮かんできて、考えていました。

 

「あぁ、これが最後かもしれない」

 

と、そう思いながらワックスがけをしました。これが最後かもしれない、と思いながら教室を片付けながら思いました。

 

これが最後かもしれない、と来年度の引き継ぎの資料を作りながら、2人と会話しました。

 

……あと片手で数えられる程度です。

 

辛い、とばかりは言っていられませんが、それでも私は前に進まなきゃいけないんですけど、今は少しだけ弱音を吐かせてください。

 

副主任がいつも言ってくれました。「いつも教えてあげられなくてごめんね」って。

 

違うんです。あなた達2人の背中から学ばせて貰っているんです。学ぼうと思えば学べる環境を作ってくれている2人がいたから、私は1年やって来れたんです。

 

そう伝えたいのに、もうその言葉を言う機会も僅かしか残っていません。

 

決まって私は「おふたりはご家庭のこともあるし、なんでもかんでも聞いていられないなって思って。すみません、自分も大事なことしか聞かなくて」って返してるんです。

 

この間、副主任が「本当はもっと前に言うべきだったよね」って、移動を告げられた日に教えてくれました。副主任は移動じゃなくて、退職なんです。

 

やりたいことがあるって夢を語ってくれました。その後に「先生のこと抱き締めてあげたいんだよ」って言ってくれました。

 

甘えていいんですかね。最後の日くらい。

私、抱き締められることに慣れてないんです。褒められることに慣れてないんです。

 

でも、求めてもいいんですかね。

 

いつも優しく見守ってくれた主任と副主任と働けるのもあと1週間もありません。泣いてばかりじゃいられない。

 

最後は「任せてください。この学年を、来年きちんと引き継ぎます」と胸を張って言えるように頑張りますから。

 

2人のような上司になれるように頑張りますから。あと数日、私に沢山のことを学ばせてください。

 

というのが、今の状況です。

ブログを書きながら、馬鹿みたいに泣いています。

なんで……ってやっぱりまだ思っています。仕方ないんですけどね、2人がいなかったら、1年やってこれてなかったです。

 

大袈裟でもなんでもなく。

だからこそ、弱い私をここに少しだけ見せておきたくて綴りました。

未来の私がこれを読み返した時に、「あぁ、少しは2人にいい所見せられるかな」って思えるように。